僕の"いちばん好きな場所"

ツイート20個分。感情の記録装置。時に発信装置。

・・・僕が生きている今は、誰かが伝えたかった明日・・・ Reading Act『打ち上げ花火が消えた後、カケラみたいに光る星。』を観劇して

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《イントロダクション》

「打ち上げ花火が消えた後、カケラみたいに光る星――」

 

そんな意味不明なメッセージの断片だけを残し、
宇宙空間で消息を絶った格安宇宙旅客船『STAR LIGHT12便』。

 

ある夜、一人の⻘年のスマホが突然、
見知らぬ誰かからの動画を受信する。

 

ここは『STAR LIGHT12便』という船の中です。
これから、ここで僕たちに何が起きたのかをお話しします。
関係ないのに、ごめんなさい。
でも、どうか最後まで見てもらえたら嬉しいです。
それでもし......もし良かったら、伝えてもらえたら嬉しいです。

僕たちが戦ったってこと。守りたかったってこと。
最後までみんなで笑ってたってこと。
今、これを見てくれてるあなたへ。
勝手だけど、僕たちはあなたに託します」――

 

小さな宇宙船の中で起きた、
小さな普通の人たちの、
大きな勇気の物語。

 

この記事では、先日観劇してきた朗読劇「Reading Act『打ち上げ花火が消えた後、カケラみたいに光る星。』」から感じたものを作品面・舞台面という二つの側面から綴っていきます。

公演が終了した後なので、ネタバレ含んでの内容です。

この作品を観劇された方は、あの景色を思い出しながら…見たことのない方は、こういう作品なのか…と思いながらお読みください。あくまで僕自身の観点から感じたものなので、個人差はあると思います。ですが、これは僕が感じた、一個人としての感想です。是非最後まで読んでみてください。

 

 

 

《作品面から見た感想》

リーダーシップとフォロワーシップ

STAR RIGHT12便(以外宇宙船)で起こったことはハイジャックでした。ハイジャックされた宇宙船の中で、乗客船員がシェルターに閉じ込められ何もできない状況。その船員たちは顔も名前も知らない。そんな絶望的な状況の中、一番最初に口を切ったのは冒頭の写真の真ん中にいる男性、北斗(役:秋沢健太郎さん)でした。

『透明な水でも、赤いインクを一滴垂らせば、赤色の水になる。俺はその一滴になりたい』

懸命に船員を引っ張ろうとする北斗の姿勢。勇気は誰にでもある。その一歩を踏み出した北斗から、他の乗客たちはそれぞれ持ち合わせている力を発揮しあい、知恵を出し合いながら犯人に対抗しました。

 

三人寄れば文殊の知恵と言えばいいのでしょうか。でもそれぞれスキルを持ち合わせていても発揮するように引き出す人の存在がとても重要。誰かをまとめるには勇気がいるけど、付いてきてくれる人たちの力が大きければ自信にも繋がるし勇気にも繋がる。そしてその勢いは全員に伝わる。

もし何かを始めたい時に、その第一人者になろうとしても、周りの士気が低ければ遂行はされません。お互いに勇気と自信を分け与えることで全体の雰囲気が良くなり前向きになれる。この先、自分がもしそういう立場に立ったら…先導する側か付いていく側かは分かりませんが、纏める側に立ったら周りのことをよく見てムードメーカーとなり…支える側となったらお互いをサポートしながらリーダーをサポートする。そんな人間になりたい。これって社会人学生問わずグループで一つのことを成し遂げるのにとても重要なことだと思うんですよね。そういう集団行動における大切さを受け取ることができました。

 

 

 

後悔と反抗

犯人に対抗するも、ハイジャックされた宇宙船は操縦もできない。犯人は逃亡。残された選択権は地球に落ちて死ぬ。残された時間は数時間。為すすべなく死を悟った乗客たちは何をすべきか考えました。

 

『何もしないで後悔するのは嫌だから』

 

北斗の言葉ですが、僕が一番好きな劇中の台詞です。

リーダーシップを発揮する北斗は、そこで一つの案を出し、全員賛同。決めたことは残された時間の中で、船員たちは一人一人やりたかったこと…やりたいことを言い合うでした。そこでそれぞれが自分たちのやりたかったこと、やり残したこと、過去。いろんなものを曝け出しました。彼女へのプロポーズ…好きな人への告白…憧れの為に歌を歌う…

それぞれ最後の1人が放った言葉

 

『勝ちたい』

 

綺羅(役:生田輝さん)が放った台詞です。

ハイジャックされシェルターに閉じ込められた時、犯人から聞こえた言葉に「9月11日」というワードがありました(どういう偶然か初演の日が9月11日)。そうです。9.11です。

ですが、北斗は9.11でハイジャックされた4機の飛行機のうち作戦に失敗した1機の話を出しました。なんで失敗したのか。

『戦ったから。1人の人間が勇気を振り絞って、みんながそれについてきた』

そこから自分たちの守りたかったものを守ることを選びました。そして伝えることを選びました。

 

 

もし自分の死を覚悟した状況になった時、何ができるだろうと考えました。あんなことしておけば良かったとか、もっとやりたいことたくさんあったのに…とか、ひたすら"後悔"しかできないと思います。その後悔を前進へと進めることってどれだけの決断なんだろうと考えました。簡単なわけがありません。でも北斗たちは前だけを向いてました。決して後ろを振り向かない…絶望を希望に変えて…そんな心の覚悟に衝撃を受けました。

 

 

生きること。忘れないこと。

宇宙船からのメッセージを受信した青年は、自殺を考えていました。誰も自分のことなんて気にしていない。見向きもされない。生きる価値がない。

しかし、この宇宙船の船員は明日を見ていました。死を覚悟した上で何ができるか…舵を失った宇宙船が墜落するまでの数時間でできることは何かを模索して、そして見つけた答えが「守りたかったものをメッセージとして残し誰かに伝える」でした。普段何気ない日常の中にある、意識をしてないものでもそれはかけがえのないものであると。刹那に散る花火の光を「打ち上げ花火が消えた後、カケラみたいに光る星」と。

そのメッセージを受け取り、生きようとする姿勢を目の当たりにした青年は死ぬのをやめました。生きることを選びました。

 

きっと、この世界は普通に満ち溢れているようでも、特別なものばかりで、それは全てが自分にとって大切な存在。大切な何かを失っても、時間が経てば人は忘れる。そういう生き物であっても、記憶を記録として残す。そして受け継がれる。消えてしまう花火の光も星のカケラとなり残っていく。星は朝が来ても夜が来ればまたやってくる。忘れていても、形となればそれは残っていく。そうすればきっと忘れない。

過去に自分も大切な人を亡くしたことがありました。いなくなった当初は忘れることなんてあるわけがない…忘れてたまるか。って思っていました。でも、時間が経てば記憶から薄れる。上書きされるような記憶に苛立ちを覚えることもありました。でも、そんな普段の日常は普段のままでよくて、きっとそんな普通な日々が幸せなのかもって。

自分にとっては何の変わりばえしない当たり前の日常だから、普段の生活の中にある普通も、手放して仕舞えば気がつけばそれは特別なことだらけで…そんな普通の今日は誰かが残したかった特別なのかもしれないって痛感しました。きっとこれは今までになかった感覚…この朗読劇を観たからこそ生まれた感情なのかもしれません。

 

 

 

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《舞台面から見た感想》

・ステージの近さ

 

・マイクの無い肉声の演技

 

 

《最後に》

この作品を生んでくださった脚本さん、素敵な朗読劇へと完成させた演出さん、キャストさん、スタッフさん全ての方へ感謝の意を表します。本当に素敵な作品をありがとうございました。この作品を通して先に述べたようなこと…それ以外でも得られたものや考え方がたくさんありました。細々と綴りましたが、物語全般を通して受け取ったものを一つの言葉に纏めるなら「前向きに生きる」だと思います。そして、朗読劇の面白さや初めて知った役者さんの魅力にも触れることができ、何にも変えられない貴重な体験をさせていただきました。

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